〜虎岩旬菜園〜フルーツとうもろこし、コシヒカリ、市田柿
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「農業をやってみたい」「農業に関心がある」
…さて、農業って何なのでしょうか?

 私は農業が勉強したくて、農学部に入りました。ところが、大学で教えてくれたのは、「農学」でした。農学は、農業にまつわる様々な事柄を細分化(栽培学、病理学、経営学等々)して、その1つ1つを研究していくのです。
 ですから、農学から農業を学ぼうとしても、それはあまりにも狭い領域(例えば、作物の病気のウイルス)の研究からなりたっているので、実際の農家の現場とは遠い存在です。

 農家ごとに違う「農業」像がある

 それでも、在学中、長期休暇を利用し、農家で農業実習をすることによって、農業を少しは学べました。

 農家から学んだ農業は、十人十色です。それぞれの農家に、理想とする自分の農業像があり、それを元に農家を営んでいました。有機農業が農業だと思う人もいれば、北海道の大規模農業が農業だと思う人もいることでしょう。
 そうした中で、私が感銘を受けた農家は、福井県と福島県の農家さんでした。どちらの農家も共通していたのは、「自分で作ったものを自分の手で消費者に直接販売する」という経営でした。
 私は、農家で実習するまでは、農業は栽培だけをするものだと思っていたのですが、農業は、栽培から販売そして生活にまで深く関わる豊かな仕事だと知りました。

 自分で作った作物は、販売するだけのもではなく、自分達で食べるものでもあります。栽培した作物を自家用にジャムにしたりソースにするなど加工することも大切な農家の営みですし、栽培した作物を自分の手で消費者に販売していくことも暮らしていくために必要なことです。
 「自給用の作物」と「販売用の作物」、2つのバランスを上手に営むこと、これが私の考える農家像です。現在、我が農園では、自給用の作物が増えるように、リンゴやモモ、カリン、ブルーベリーなどの果物を数多く植えています。

 「農業」という言葉の意味

 ここまで読んで驚かれたかもしれませんが、農業とは何か1つの答えがあるわけではないのです。
 辞書を引けば、農業とは何々であると書かれているでしょうが、実際に農家をやっている側からすると、自分のやっている農業が「農業」なのです。例えば、農家に農業を教えてくださいとお願いすると、たぶん、ほとんどの農家は自分の栽培している作物の栽培方法を説明してくれると思います。トマト農家なら、トマト栽培が農業なのです。

 「農業」と「農家」、同じような言葉なのですが、2つの意味は異なります。「農業」という言葉は、意味合いが広く、また、各人で農業の意味のとらえ方が異なるため、農業界の人々と一般の人との距離を遠ざけているようにも思えます。
 そこで、これから話を進めていくときには、「農業」という言葉はなるべく使わず、農家:農業で生計を立てる生業栽培:作物を育てることなど、農業という言葉を置き換えていきたいと考えています。また、読まれる方も、自分の考えている農業が「何を指す」のかを模索してみてください

 農家を目指すには?

 農家を目指した時に、まず驚くのが、農業(農家)という世界の入り口の狭さではないでしょうか。日本中にはたくさん農家があり、農作業が日々行われているのですが、一般の人からするとどうやって農業や農家にアクセスしたらいいのか難しいものです。
 その中でも、手軽に農作業や農家に触れられるものとして農作業体験があります。飯田市のワーキングホリデーのように、3泊4日程度で農家で農作業体験ができる制度が、全国にあります。まずは、農家や農業がどんな感じか、農作業を通じて体験してみるといいと思います。すごく楽しいと思う方もあれば、単純な作業の繰り返しと思う方もいるでしょう。
 そして、体験することと同時に、どんな農家になりたいのかを想像してみてください。ホームページや書籍にも就農について書かれたものが多くありますので、そういったものもどんな農家になるのか考えるときに参考になります。

 まずは売り先(出荷先)を考えよう!

 行政等の就農相談に行くと、まずは作る作物を決めてくださいと言われます。作る作物を選択することも大事なのですが、今の農家は市場出荷だけでなく、消費者への宅配、直売所出荷や観光農園、農家レストランなど様々な売り方があるので、まず考えることは「作った作物をどこに出荷していくのか」ということだと私は思います。
 出荷先を大きく分ければ、「直販」「JA・市場(いちば)」「契約栽培」「直売所」という感じでしょうか。
 ただ、実際の農家は、4つの販売先の中から1つを選ぶというのではなく、いくつかを組み合わせて作った作物を出荷していきます。だからといって出荷先を均等に割り振るということはなく、どれか1つに重点を置きそこを中心に出荷し、余剰分をその他の出荷先に出していきます。
 新規就農される方も、自分のこれまでの経験や資金から、まずは、重点となる出荷先を決め、余剰分をその他の出荷先に出すと言うことになると思います。また、重点と決めた出荷先を途中で見直す場合には、多大な労力と資金が必要となりますので、就農前にしっかりと計画して将来を予想していくことが大切です。
 虎岩旬菜園の場合、主な出荷先は、消費者への「直販」ですが、余剰分を「直売所」や「JA・市場(いちば)」にも出荷しています。


 次に、4つの出荷先の説明をしていきます。

 出荷先 (1)直販

 自分で作った作物を自分で売っていく形態です。直接、消費者や飲食店等に自分で販売していくことが直販です。農家レストラン観光農園も直販に近いものがあります。
 自分で販売するので、価格を自ら決めることができるということが大きな利点です。ただ、営業して行かなければ販売に結びつかず、収穫した作物を完売できず、捨てなくてはいけないようなこともあります。

 農業が儲からないとよく言われます。実際にあまり儲かる仕事ではないのですが、自分で売っていくと、そこそこの収入が得られます。現在、大きく収益を上げている農家の多くは直販または契約栽培をしている農家です。
 品目によって異なりますが、スーパーで売られている野菜や果物は、価格の25〜30%が生産者の手取りとなると言われています。スーパーで1個100円のトマトであれば、出荷した農家が受け取るのは25〜30円ということです。さらに言えば、25〜30円が収入になるのではなく、そこから栽培や出荷に掛かった経費を引いた分が収入となります。
 農家が直接消費者に販売できれば、経費は高くなりますが100円まるまる売上となり、経営の上で非常に有利です。しかし、そのためには、買ってくれるお客さんを自分で捜してこなくてはなりません。

 そこが直販の難しいところですが、同時におもしろさでもあります。直接、お客さんに販売するので、作った作物の評価を直接聞くことができるので、栽培の問題点も見てきますし、お客さんの喜びの声は励みにもなります。今後、貿易の自由化等で農産物の販売環境が激変しても、お客さんに農家を身近に感じて頂ければ、販売を続けていくことができると思います。
 また、直販は、都市に住んでいる人間の方が有利という面もあります。地方に住んでいると今のトレンドも分かりづらいですし、都市の飲食店や販売店に営業するものどこにどんな店があるのか分からないため、営業がやりづらいです。ところが、今都市に住んでいれば、お店を見て回ることもできますし、消費者の視点で、売れそうな農産物を考えることもできます。新規就農だからこそできる直販のやり方があると思います。

(※虎岩旬菜園の直販のやり方は…。まず、初年度にやったことは、私と妻の知り合い全員にフルーツとうもろこしの案内状を送りつけるということでした。)

 出荷先 (2)JA・市場(いちば)

 通常、生産者がJAに出荷した農産物は、JAから市場(いちば)へと出荷されます。また、市場(いちば)に直接出荷することもできます。
 JA・市場(いちば)出荷の場合、JAや市場(いちば)が決めた規格に沿った農産物を生産することが重要です。価格は市場(しじょう)で決まりますが、規格に合えば、生産した農産物の全てを出荷することができるため、売れ残る心配はありません。
 JAや市場(いちば)に出荷する農家の利点は、栽培に集中できるということでしょう。その代わり、市場価格(しじょうかかく)という自分では全くコントロールできないものに価格を決められてしまうため、就農するときに選択する作物を間違えると、年間の収入の見通しも立たず、大変に苦しい経営を強いられます。
 近年の不景気で、農産物の市場価格は低迷しています。しかし、そのなかでも、価格の安定している品目もあり、そういったものがねらい目かもしれませえん。下伊那地域では、市田柿やキュウリ、トマトなどが安定している方です。

 出荷先 (3)契約栽培

 新規就農の場合、農業法人から独立して契約栽培農家になることが多いようです。
 スーパーや外食チェーン等と種をまく前に出荷する野菜の量や価格を決め、それに沿って出荷していきます。このため、1年の初めには、おおよその収入の見通しが立つので、安定した経営が可能でしょう。話を聞くところでは、1000万円近い高収益を上げている新規就農者もいるようです。
 今のところ、日本では、契約栽培したいスーパー等の需要が大きく、契約栽培が広がっている段階なので、上手く作れれば良い経営ができると思います。ただ、今後、契約栽培を行う農家グループや法人がどんどん増えていくと、生産者側の供給が過多となり、企業との価格設定で弱い立場に立たされる可能性もあります。
 契約栽培は、基本的に大規模な面積で栽培を行うため、初期投資が高額になりがちです。早い段階で、初期投資が回収できれば価格が下がってきてもどうにかなると思いますが、回収する前に価格が下がってしまうと、首が回らなくなってしまいます。

 出荷先 (4)直売所

 近年注目されている出荷先として、直売所があります。
 直売所に出荷する場合、農家自らが価格を決めて、直売所に置いてきます。置いてきた農産物が売れれば手数料(20%前後)を引いた分が自分の取り分となります。ただし、売れ残った場合は、自分で回収して食べるなり、捨てるなりしなくてはなりません。   
 大都市近郊の直売所では、一軒の農家が年間1000万円売り上げるそうです。都市近郊で農家ができれば、直売所出荷だけでも経営が成り立ちます。
 直売所に出荷するには、その直売所の会員になる必要があります。JAが運営している直売所であれば、JAの組合員にならなくてはなりませんが、民間で運営している直売所であれば、たぶん誰でも出荷できると思います。
 

 栽培作物の選び方

 前述のように売り先を決めていくと、作るものの選択肢が狭まってきます。
 先の4つの売り先順に、選択する作物の決め方を書いていきます。

 直販の場合は味が命


 直販するメリットの1つが、鮮度の良い状態で、消費者やお店に届けることができるという事でしょう。このため、鮮度の劣化の早い品目を選ぶと、スーパー等で売られている野菜や果物と差別化できます。(スーパーで売られている野菜や果物は、収穫後3日から7日間は経っています)
 JAや市場に出荷する場合には、トマトなら少し色が付いた状態(素人が見ると緑色です)、モモならリンゴのように堅い状態と、完熟するだいぶ手前で収穫する必要があります。これは、スーパーに並ぶまでに商品が劣化しないためなのですが、食べる側からすると非常に悲しいことです。野菜も果物も、完熟すればとても美味しいものです。モモやトマトなどは、素人が作っても完熟さえしていれば、スーパーで売っているものとは比べものにならない味になります。
 また、鮮度の落ちやすい枝豆やスイートコーンといった野菜がねらい目です。こういった野菜は、収穫後、時間と共に糖度が下がっていきます。少しでも早く消費者に食べてもらえれば、その味の違いに驚かれることでしょう。

このほかにも、知名度はないけれども、その土地のその土地の美味しい野菜や果物や、その場所で栽培するとすごく食味が良くなる作物なんていうのもいいと思います。
 日本国内には、まだまだ、私たちの知らない美味しい農産物があるはずです。

 JA・市場(いちば)出荷は経営環境の変化に要注意

 JAや市場への出荷を前提に栽培する作物を選択する場合に、参考になる資料は、農業経営指標(都道府県が作成)や農産物の相場でしょう。
 そういったものから選択するときに問題となるのは、どのデータも過去のものであるということです。私が就農した204年頃、下伊那地域では、イチゴを作物として選択し就農する人が結構いました。しかし、重油での加温が必要なイチゴは、その後の原油高の影響を受け生産コストが上昇し、さらに、景気の低迷やイチゴ産地の拡大から価格も低迷しています。そのためか、2010年前後では、イチゴでの新規就農をあまり聞かなくなくなりました。現在、下伊那地域で価格面で有利なのは、キュウリ、市田柿、アスパラガスといったところでしょうか。
 貿易自由化や社会経済環境の変化にも対応できそうな作物を選ぶことは、極めて難しいことです。それでも、農家になると決断したら、ありとあらゆる情報を集めて、選択するしかありません。また、こうしたリスクを避けるためには、単作ではなく複合経営(たとえば、夏秋にキュウリ、冬に市田柿)を選択した方が環境の変化に対応しやすいです。
 また、強い産地を選ぶという選択肢もあります。強い産地とは、全国的に見て、ある地域で特定の作物の生産量が多く、また市場(しじょう)において産地のネームバリューで高い価格がつきやすいような作物です。そういった強い産地では、産地の供給量を維持するために、高齢農家の減少分を新規就農者で補おうとしています。その産地の将来のビジョンに共感できるなら、産地で選ぶのも良いかもしれません。

 契約栽培はグループで

 新規就農者個人で、取引業者と契約栽培を始めるのは、ハードルが高いため、農業法人や農家グループに入って、取引先と契約栽培をすることになります。
 目的や目標、将来像に納得できる農業法人や農家グループを探し、そこが栽培している作物を作るのがよいのではないでしょうか。

 直売所は時期や品目を工夫して

 その直売所に出荷されていない野菜や果物がねらい目です。
 通常、直売所周辺の農家が多く出荷するため、収穫時期がそろいがちで、キャベツならキャベツが山のように出荷されるということが多いです。このため、人よりも早い時期や遅い時期に出荷することや、消費者視点で「こんなものが売っていれば買いたい」というものを栽培するなど、様々な工夫を加えていくと、直売所内における他の農家さんとの競合に勝つことができます。直売所出荷に関しては、雑誌「現代農業」によく特集されています。
 新規就農者のメリットを生かすのならば、出荷先を住んでいる場所に限定しないで、自分の作っているものが出荷されていない直売所まで少し遠くても足を運ぶのもよいかもしれません。物珍しさや時期をずらすのも良いのですが、味の面での差別化が長期的に、売れる状況を生み出すように思えます。


 農家を見て決める

 出荷先や栽培する作物を決めることは、農家を始める上で欠かせないものですが、農業界の外から来る人が、それらを選択することは結構難しいものです。
 私自身が、就農の準備をしていたときには、今まで書いてきたように、出荷先や作物を分類して、就農までの計画をたてていた訳ではありません。大学生の頃に実習した農家のような農家になりたいと思い、どうしたらそのような農家になれるかとひたすらに考えていました。

 農家や農業法人で数多くの農業体験や農業研修を重ねていくと、自分にあった農業の形はこれだという農家に出会えることがあります。色々な農家を見ていく中で、どんな作物が有利なのか、どんな売り先が良いのか、今後どんな農業の形が伸びていくのかといったことが見えてきます。それは、農業経営の勉強にもつながります。
 少し時間が掛かりますが、農家や法人で農業体験や研修を繰り返すことは、新規就農を目指す人にとって、何よりも良い農業の勉強になると思います。つい学校で農業が勉強できると思いがちですが、学校は、栽培管理や農学といった学問的なものを教えくれる場所です。農業は学校で学べるほど単純なものではなく、栽培と経営が複雑に絡み合った複雑なものです。農業を学ぶには、農家しかないと思います。
 農業研修や農業体験するには、ワーキングホリデーのような行政が窓口となっているものもありますし、お世話になった農家さんに別の農家を紹介してもらうことも可能です。また、作業をするばかりではなく、出会ったの農家さんの話を聞くことも参考になります。

 農家になる目的は?

 自分がどうして農業をやりたいのか?そもそも自分の考えている農業とは何なのか?こんなことが頭によぎると思います。

 はじめにご説明したように、農業には、農家、農作業、栽培、農村生活などなど、様々な意味が含まれています。
 農業をやりたいと思ったときに、生業としての農家ではなく、農作業がしたいのであれば、リスクの高い農家になる必要はありません。最近は市民農園も増えているので、市民農園やクラインガルテンを借りて農作業をすることで農業に携わることもできます。
 また、農村生活(田舎暮らし)がしたいのであれば、同様に農家になる必要はなく、兼業農家(収入を農業以外の勤め等で稼ぐ)となり、田舎暮らしを満喫した方が楽しいと思います。農家になってしまうと、とにかく農作業で忙しいので、田園ライフを満喫とはなかなか行きません。
 仕事として農業をやりたい・自然の中で働きたいと考えるなら、これもまた同様にリスクの高い農家にはならずに、農業法人等で働くという手もあります。

 新たに農家という職業になるということは、会社を起業し社長になるのと同じ事です。1から10まで全て自分の責任の下で、決定して行かなくてはなりません。
 栽培する作物を選び、出荷先を決め、必要な資金を調達し、自分で経理をしてと、一つの会社を自分で切り盛りして行かなくてはいけません。そして、もしも失敗しても誰も責任をとってくれません。役所やJA等が薦めたからその作物を選んだと言っても、役所もJAも責任は取ってくれません。経営が行き詰まったり、病気や怪我で農家ができなくなったとしても、失業保険ももらえません。

 さて、あなたはどうして農家になりたいのですか?
 私は、農業で生計が立ててみたくて農家になりました。学生の頃にお世話になった農家やパラグアイで一緒に仕事をした現地の農家のように暮らしたいと思い農家を志しました。なので、農業を始めるに当たって、一番大切なことは、農業収入で暮らすということでした。農業収入だけで暮らせるのなら、東京で農業をやってもいいと考えていた時期もありますし、栽培するものも何でも良いと思っていました。ただ、中長期的に、生計を成り立たせていくには、直販が最も安定していると思い、直販を中心とした農業経営を想像して就農先を探しました。
 栽培する作物や売り先ではなく、「農家(農業)になる目的:なぜ農家(農業)になるのか」これが、農家(農業)を志すに当たって、一番大切なことでしょう。この目的が、曖昧だと、将来の経営像を描くことも難しいでしょうし、選択する作物や売り先も運任せ・他人任せで決めるしかありません。そうやって他人が決めたとしても、上手くいかなかった責任は、自分にあるのが農家という職業です。

 農家の現状は厳しいのか?

 農家の年収ってどのくらいなのでしょうか?
 統計を見るとなんとなく分かるのですが、農家は自分で確定申告をしているので、実際の収入はなかなか表にでない気がします。
 新聞やテレビに何気なく出てくる農家の話をつないでいくと、農業者1人当たり200万円ほどの収入が一般的なように思えます。上手に直販や契約栽培したり、技術が非常に高ければ、農業者1人当たり、500万円以上の収入を上げる人もいます。
 通常農家は、1人で農作業をしている訳ではなく、妻や両親(おじいさん、おばあさん)と、2人〜4人で農家を営んでいます。ですから、1人当たり200万円稼いでいるとすると、農家の労働力が2人なら、年収400万ほど、4人なら800万円ほどとなります。その金額が多いのか少ないのかは、難しい問題ですが、農家で800万円稼げば可処分所得(使えるお金)は多いと思います。それでも、20年前に比べると収入は下がっているようで、1人当たり200万円では少ないと感じる農家が多いようです。(私から見ると十分な収入に思えます。)
 新規就農した方も、まずは、年収200万円を目指すことになるでしょう。この200万円が農家としてやっていけるかどうかのラインになるとも言えます。

 昔は、野菜は八百屋で売っていました。1つ1つの八百屋は小さな存在です。八百屋が販売する野菜の価格を決めるときには、通常、市場価格を基に販売価格を決めたことでしょう。そのため、野菜が豊作で暴落すれば、八百屋は店頭価格を下げ、数を売るような行動にでていたはずです。
 ところが、現在は、イオンやイトーヨーカドーといった小売り大手が、スーパーで野菜を売っています。規模の大きいスーパーの場合は、市場価格から販売価格を決めるというよりは、初めに店頭価格ありきで、それをもとに市場から仕入れるため、市場の価格決定機能が低下しています。
 大手スーパーは、価格が暴落しても店頭価格を下げません。「キャベツの売値を半分にしても、消費者は2個買っていかない」というのが店頭価格を下げない理由だそうです。このため、市場で野菜が暴落しても、小売価格がそれほど下らないため、消費は大幅に増えず、暴落した野菜は、市場隔離等で産地側が破棄しない限り価格が戻らない仕組みになっています。こうしたこともあり、農産物の市場価格は常に低い状況に置かれています。

 農家の持つ豊かさ

 私の考える農業は、単に収入を得るためだけではなく、生活を豊かにするためのものでもあります。必死に稼ぎ、稼いだお金で豊かな生活を得ることもできますが、そんな無理をしなくても農家の営みを上手に生かせれば豊かな暮らしを得ることができます。
 学生の頃に実習でお世話になった会津の農家さんは、薪で焼くパン釜を持っており、自家製の卵を入れたパンを焼き、自家製のジャムでもてなしてくれました。それまでは、農業は、単に収入を得るためのものだと思っていたので、暮らしを豊にするために様々な作物を育て、パンを焼くなど家の中で楽しめることを作り出す農家という存在に感銘を受けました。そして、こんなことを教えてくれました。「農業は、天候にも左右されるし、あんまり儲かる仕事ではないよ。だから、サラリーマンのように稼いだお金で楽しもうとしても無理がある。農家は、生活の中に楽しさを求めていくことが自然だよ。」
 また、青年海外協力隊で出会ったパラグアイの農民達も豊かな暮らしを送っていました。家族総出で畑に行き、自分で育てた豚や鶏で家族の誕生日を祝うなど、家族が共に暮らし働く姿は、サラリーマン家庭で育った私には、豊かに感じました。 
 私たちは、この地に移り住んでから少しずつ生活を豊かにするために、リンゴやモモ、栗、柿、ブルーベリーなど様々な果物を空いた土地に植えています。また、自給用に30種以上の野菜を育て、ジャムやソース、干し野菜等に加工しています。そして、野菜が少なくなる冬期に、ピザやケーキを作り、家族みんなで楽しんでいます。
 こうした営みは、直接の収入にはなりませんが、購入するものが減るので家計を助けにもなりますし、外で外食をしなくても美味しいものが食べられるので、豊かな食生活を送ることができます。
 妻も移住した当初は、映画を見に行きたい等々話していたのですが、農家の生活スタイルに慣れてからは、楽しみながら色々な加工品を作り、家の中で楽しむ暮らしを満喫しているようです。
 また、こうして、色々な果樹を育てたり、加工品を作るということは、将来の新たな経営資源にもなります。こんな果物や加工品が消費者に受けるのではないかとアイデアが膨らみます。

 技術はどうやって学ぶのか?  

 栽培する作物を選択して、次に問題となるのが、その作物の栽培技術をどうやって身に付けるのかということです。
 私は、就農するまでフルーツとうもろこし(スイートコーン)を栽培したことがありませんでした。それにも関らず、就農1年目からフルーツとうもろこしを栽培し、お客様に満足していただける品質(味)のものを収穫することができました。自分たちでもびっくりするぐらいフルーツとうもろこしのリピート注文を頂き、予想以上の売り上げを計上できました。
 自慢話のようになってしまいましたが、作物には栽培が難しいグループと簡単なグループがあります。スイートコーンは、栽培が特に簡単な作物なので、ぶっつけ本番でもなんとかなるだろうと思っていました。

 だからといって、何も準備せずに栽培を始めたわけではありません。就農する前(長野県に移住する前)にやったことは、スイートコーン栽培の資料を読むということでした。書籍、ネット検索、スイートコーン生産者に直接話を聞く等々、可能な限りの資料を集めました。
 こうしていくことで、栽培する上で問題となるであろう事柄や高品質のスイートコーンの作り方を机上で科学的に理解することができました。生産者の中には、科学的な考え方を重視しない方もいますが、私の知る限り、篤農家と呼ばれるすぐれた栽培技術を持つ生産者は、必ずと言っていいほど自分の栽培技術を科学的に理解しています
 「科学的に」というと何か難しいことのように思われるかもしれませんが、簡単に言えば、「作物を育てるときに行う、ひとつひとつの作業の意味を知る・考える」ということです。たとえば、畑の草を抜く「除草」という作業があります。なぜ除草をするのか?ということが科学的に考えるということです。いつもやっているからやるのではなく、その作業の意味を知る・考えることが栽培技術を学んでいく上で非常に重要になります。

 私の場合、まずは、資料等からスイートコーン栽培に必要な作業の意味を学びました。次に、実際の畑で栽培しました。
 自分で栽培していくと、本に書いてあった通りにいかないことは多々あります。しかし、問題があるとそのたびに、なぜ上手くいかないんだと考えます。そして、もう一度集めた資料に目を通すと、初めに読んだ時には気が付かなかったものの、今現在自分で栽培しているから理解できる内容が資料から読み取ることができます。
 そうして、栽培経験を積みながら、栽培上の問題を1つ1つ解決しスイートコーンを栽培していきました。今となれば無駄な作業をたくさんしていたのですが、栽培の経験を積んで、栽培上の問題を解決していく過程だったとも言えます。

 自分で作物を育てて、栽培の経験を積むこと。書籍や資料から作物の科学的な知識を身につけることこの経験と知識を身につけることが栽培技術を身につけるということです。

 さて、これから就農しようと思っている人が栽培技術(知識と経験)を身につけるにはどうしたらよいのでしょうか?
 農業学校に通うか、農業法人や行政、JA等が行っている研修制度を利用するのが一般的です。学校に通ったり、研修を受けたりすると、栽培技術が身に付くように思えますが、ただ、提供される講義や実習をするだけでは、栽培技術は中々身に付きません。
 農家の場合、栽培技術は親から子へと見て学ぶような形で技術が継承されてきたため、作業をしていれば栽培技術が身に付くといった考え方があります。5年10年と研修を続けるのであれば、作業だけをしながら技術を身につけることも可能でしょうが、新規就農者にそこまでの時間的な余裕があるとは思えません。ただ、作業をするだけで技術を学ぼうと思ったら、膨大な時間が掛ることを理解してください。それは、農家の後継者だからできることなのです。
 新規就農者の場合は、始める年齢にもよりますが研修を始めて5年から10年で一人前の農家にならなくてはなりません。短期間である程度の栽培技術に達するには、研修先で教えてもらうことに加えて、自ら学ばなくてはいけません。

 具体的に何をやるかと言うと…

 1つは、自分の畑を持ち、そこで将来栽培する作物と、なんでも良いので作りたい野菜を作ることです。実習圃場等でみんなと一緒に作業すると何となくやっていることが多々ありますが、自分の畑だと、1から10まで自分でやらなくてはいけません。自分で調べたり聞いたりしながら作物を育て、栽培の経験を積むと、共同作業よりも濃い経験を得ることができます。そして、就農した後、問題にぶち当たった時の対処法を学ぶことができます。言われた作業をただこなすだけだと、想定外の問題に対応しづらいです。
 自分の畑を持ったときにやるべきことは、「毎朝、畑を一回りして作物を観察すること」「作業日誌をつけること」の2つは必ずやってください。そして、疑問に思ったことやいつもと違う感じがしたら、聞いたり調べたりして、その作物の状態がどうなっているのか知ってください。作物の変化が判るようになることは、作物を栽培する上でとても大切なことです。(自分の畑だけでなく、実習・研修先の圃場も同じようにするとさらに良い勉強となります。)
 もう一つは、将来栽培するであろう作物の資料を集めて、読むことです。実際に栽培したことのない作物の専門書を読むことは、難しいのですが、一度目を通すだけでも、自分が栽培したときに役に立ちます。専門書への抵抗感を弱めてくれます。
 新規就農者が農家になろうと思ったら、専門書は読めなくてはいけません。資料を集めるときに役に立つのが、農文協の「ルーラル電子図書館」です。年会費は2万4千円と高いのですが、1年単位で契約できるので、1年間の間に集中して情報を読むことができます。その中で特にお勧めは、「農業技術大系」です。これは、実際の農家の経営や栽培技術を公開しているもので、篤農家の技術を細かく知ることができます。
 資料を集めることは、研修を始める前でもできます。東京にいても大阪にいてもできてしまいます。就農しようと思ったら、すぐに始めてください。


虎岩旬菜園